【社説】愛媛県発、インフラ維持の灯を消すな – 未来への投資こそが地域の命綱
愛媛県が水道や電気といった生活インフラを支える工事の担い手不足に警鐘を鳴らしている。今や地方に限らず、全国的な課題として深刻化するインフラ老朽化と人材不足。これは、単なる地方の一ニュースとして看過できるものではない。日本の社会基盤そのものが危機に瀕していることを示す警鐘と捉えるべきだ。
記事にあるように、インフラを維持する工事は、決して華やかな仕事ではないかもしれない。しかし、私たちの生活を根底から支える、なくてはならない仕事だ。当たり前のように蛇口をひねれば水が出て、スイッチを押せば電気がつく。その「当たり前」を支える人々の努力と技術に、私たちはもっと目を向けるべきではないか。
これまで、高度経済成長期に整備されたインフラは、更新時期を迎えている。しかし、公共事業費の削減や人材育成の遅れにより、その更新は滞りがちだ。結果として、老朽化したインフラは災害リスクを高め、私たちの安全な生活を脅かす。さらに、今回の愛媛県の例のように、担い手不足は、そのリスクを加速させる。
今こそ、私たちは発想を転換すべきだ。インフラ維持は、単なるコストではなく、未来への投資と捉えるべきだ。安全で快適な生活環境は、地域経済の活性化、ひいては日本全体の発展に不可欠な基盤となる。
具体的には、以下の３点を提言したい。
- インフラ維持への予算配分の見直し: 従来の「作る」ための予算から、「維持する」ための予算へのシフトを大胆に進めるべきだ。老朽化対策を重点的に行い、災害に強い国土を構築することが急務である。
- 担い手育成のための支援策の強化: 若者が魅力を感じるような労働環境の整備、待遇改善、キャリアパスの明確化など、建設業界全体での意識改革が必要だ。技術力向上のための研修制度の充実、ICT技術の導入支援なども不可欠である。
- 地域住民への啓発活動の推進: インフラの重要性を理解し、維持活動への理解と協力を得るための啓発活動を積極的に行うべきだ。地域住民が主体的にインフラ維持に関わる仕組みづくりも有効だろう。
愛媛県の訴えを契機に、私たちはインフラ維持の重要性を改めて認識し、具体的な行動に移さなければならない。未来世代に安全で安心できる社会を引き継ぐために、今こそ、持続可能なインフラ維持体制の構築に向けて、国、地方自治体、企業、そして国民一人ひとりが真剣に向き合うべき時だ。
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