川崎市の子育て支援サイト「ししる」、その光と影 – 情報過多とデジタル弱者への配慮を
川崎市が子育て支援サイト「ししる」を開設した。子育て世代にとって、必要な情報を一元的に入手できることは歓迎すべきであろう。しかし、その一方で、いくつかの懸念も拭えない。
まず、情報過多の問題である。「ししる」は、行政サービスからイベント情報、相談窓口まで、あらゆる情報を網羅している。確かに、情報が充実していることは重要だが、多すぎる情報はかえって利用者を混乱させ、必要な情報にたどり着くことを困難にする可能性がある。情報の整理・分類を工夫し、利用者が目的の情報に容易にアクセスできるよう、更なる改善が求められる。
次に、デジタル弱者への配慮である。現代社会において、インターネットは不可欠なインフラとなりつつある。しかし、高齢者や経済的に困難な家庭など、デジタル環境へのアクセスが限られている人々も存在する。「ししる」のようなオンラインサービスのみに情報を集中させることは、こうした人々を情報から疎外することにつながりかねない。従来の紙媒体での情報提供や、対面での相談窓口の充実など、デジタル環境に依存しない情報提供の手段も並行して講じる必要がある。
さらに、個人情報の保護も重要な課題である。「ししる」を通じて、多くの個人情報が市に集積されることになる。これらの情報が適切に管理され、不正アクセスや漏洩から保護されるよう、万全のセキュリティ対策を講じることが不可欠である。
子育て支援は、社会全体で取り組むべき重要な課題である。川崎市の「ししる」開設は、その一環として評価できる。しかし、情報過多、デジタル弱者への配慮、個人情報保護といった課題を克服し、真に全ての市民にとって有益な子育て支援策となるよう、不断の努力が求められる。
我々は、川崎市がこれらの課題に真摯に向き合い、「ししる」をより使いやすく、信頼できる情報プラットフォームへと発展させることを期待する。そして、その過程を注視し、必要であれば是正を促すことも、報道機関としての責務であると認識している。
川崎市が子育て応援サイト「ししる（令和6年度）」を公開！ 妊娠・出産・育児をサポート,川崎市
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