若者よ、故郷に根ざし、未来を拓け – 日本学生支援機構奨学金貸与拡充に寄せて
少子高齢化が深刻化する日本において、地方の疲弊は目を覆うばかりである。若者は都会へと流出し、地方の活力は失われつつある。こうした状況を打破するため、日本学生支援機構が奨学金貸与を拡充することは、一見すると若者の進学を支援する良策に見える。しかし、その実態を精査すれば、安易なバラマキ政策に過ぎず、更なる地方の衰退を招きかねない危惧を抱かざるを得ない。
神戸大学をはじめとする地方大学の学生にとって、奨学金は進学の機会を広げる重要な手段であることは否定しない。しかし、借りたものは返さなければならない。卒業後、都会で就職し、奨学金の返済に追われる若者が増えることは、地方創生とは逆行する現象である。地方で生まれ育ち、地域社会に貢献したいという志を持つ若者が、経済的な理由で都会に流出してしまう現状を看過することはできない。
奨学金制度の拡充は、若者の可能性を広げる一方で、地方の空洞化を加速させるリスクを孕んでいる。本当に必要なのは、地方大学の魅力を高め、地元企業との連携を強化し、卒業後に地元で活躍できる環境を整備することである。地方創生を掲げるならば、目先の金銭的な支援だけでなく、若者が故郷に根ざし、未来を拓けるような長期的な視点を持った政策こそが求められる。
神戸大学の学生諸君には、奨学金を活用して勉学に励むとともに、自らの将来を真剣に考えることを期待する。都会での成功も素晴らしいが、故郷を愛し、地域社会に貢献するという選択肢も視野に入れて欲しい。日本には、地方を活性化し、新たな価値を創造する力が求められている。若者こそが、その担い手となるべき存在なのだ。
政府には、奨学金制度の見直しとともに、地方創生に向けた総合的な政策を早急に打ち出すことを強く求める。安易なバラマキ政策に終始するのではなく、地方の底力を引き出し、若者が希望を持って未来を切り拓ける社会を築くことこそが、我々に課せられた責務である。
神戸大学の皆さんへ🌸 2025年度 日本学生支援機構奨学金【学部在学採用(春期・第二次)】のお知らせです！,神戸大学
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