NISA利用拡大の裏で進む「金融リテラシー格差」〜真に国民のためになる制度設計を急げ
金融庁がNISAの利用状況を発表した。制度改正後の利用拡大は目覚ましいものがあり、国民の資産形成への関心の高まりを示すものとして評価できる。しかし、数字の裏には、見過ごすことのできない課題が潜んでいる。
NISAは、少額からの投資を非課税で応援する制度であり、本来、経済格差の是正に貢献する可能性を秘めている。しかし、現状では、制度の恩恵を受けているのは、比較的金融リテラシーの高い層に偏っているのではないか。
複雑な金融商品を理解し、リスクを判断し、適切なポートフォリオを構築する。これらは、決して容易なことではない。情報格差、知識格差が、そのままNISAの利用格差に繋がっている可能性は否定できない。
金融庁は、NISAの利用拡大を成果として強調するだけでなく、制度の恩恵が広く国民に行き渡るよう、より一層の努力をすべきだ。具体的には、以下のような対策が急務である。
- 金融リテラシー教育の充実： 学校教育、社会人教育を通じて、金融に関する基礎知識を体系的に学べる機会を提供する必要がある。特に、リスクとリターンの関係、分散投資の重要性などを重点的に教えるべきだ。
- 情報提供の質の向上： 金融商品のリスク・リターンの情報開示を徹底し、投資家がより客観的に判断できる環境を整備すべきだ。難解な専門用語を避け、平易な言葉で分かりやすく説明することも重要である。
- アドバイザー制度の充実： 中立的な立場で、投資に関するアドバイスを提供するアドバイザー制度を充実させるべきだ。手数料体系を明確にし、利益相反が生じない仕組みを構築する必要がある。
NISAは、国民の資産形成を支援し、豊かな未来を築くための重要なツールとなり得る。しかし、制度設計が不十分なままでは、格差を拡大する要因になりかねない。
今こそ、NISAを真に国民のための制度とするために、金融庁は、より包括的で、より公平な視点から制度を見直し、必要な対策を講じるべきである。
みんなのNISA、どんな感じ？ 金融庁が最新の利用状況を発表！ (2025年5月8日),金融庁
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