水道自由化の先駆けか、それとも市民生活の足元を揺るがす一石か – 新潟市水道局フリーダイヤル導入を機に問う
新潟市水道局が2025年5月7日からフリーダイヤルを導入するという。一見すると、市民サービスの向上を謳う、耳あたりの良いニュースだ。しかし、この小さな一歩は、水道事業の未来、そして市民生活の根幹に関わる大きな問題を孕んでいることを、私たちは見過ごしてはならない。
報道によれば、フリーダイヤル導入の目的は、問い合わせの増加に対応し、市民の利便性を高めることにあるという。確かに、電話料金を気にせず問い合わせができるようになれば、困り事を抱える市民にとっては助けとなるだろう。しかし、なぜ今、水道局はこれほどまでに市民サービスを強化する必要があるのか。その背景には、迫り来る水道事業の危機があるのではないか。
人口減少、老朽化する設備、そして度重なる災害。日本の水道事業は今、三重苦に喘いでいる。新潟市も例外ではない。このままでは、安定的な水の供給を維持することが困難になるのは明らかだ。そこで囁かれるのが、水道事業の民営化、あるいはコンセッション方式の導入である。
今回のフリーダイヤル導入は、その布石ではないか。市民サービスの向上をアピールすることで、民営化への抵抗感を薄めようとしているのではないか。もちろん、民営化自体が一概に悪とは言えない。効率化や新たな技術導入によるサービス向上も期待できる。しかし、忘れてはならないのは、水は生命維持に不可欠な公共財であるということだ。
民間企業は利益を追求する。もし、民営化によって料金が高騰したり、サービスの質が低下したりすれば、弱者切り捨てに繋がる可能性も否定できない。水道事業は、市場原理に委ねて良い領域なのか。市民一人ひとりが真剣に考えなければならない。
新潟市水道局には、フリーダイヤル導入の真の目的を明確に説明する責任がある。そして、市民には、安易なサービス向上に目を奪われることなく、水道事業の未来、ひいては自分たちの生活を守るために、主体的に議論に参加する義務がある。
水道は、私たちの命を繋ぐ、社会の動脈だ。その動脈が、今、静かに変容しようとしている。私たちは、その変化に目を凝らし、未来への責任を果たすために、声を上げなければならない。
新潟市水道局フリーダイヤル、2025年5月7日午前7時より一時不通に – ご不便をおかけしますが、別の連絡先をご利用ください,新潟市
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