松本市会計年度任用職員募集に見る、地方創生と人材活用の課題
松本市が令和7年度の会計年度任用職員を募集するという。一見、地方都市における雇用の機会創出として歓迎すべき出来事であろう。しかし、その背景には、地方自治体が抱える構造的な問題が潜んでいることを看過するわけにはいかない。
第一に、会計年度任用職員という不安定な雇用形態に頼らざるを得ない現状である。地方の財政状況が厳しさを増す中、正規職員の削減が進み、その穴を埋めるように非正規雇用が増加している。これでは、職員の士気低下を招き、行政サービスの質の低下を招きかねない。地方創生を掲げるならば、安定した雇用を生み出すことが不可欠である。
第二に、募集される職種の内容である。会計年度任用職員の多くは、専門的な知識や経験を必要とする業務に従事していると聞く。しかし、その待遇は決して十分とは言えず、専門性を十分に活かせる環境が整っているとは言い難い。これでは、優秀な人材が地方に定着せず、都市部への流出を招いてしまう。
第三に、今回の募集が、人口減少という地方が抱える根本的な問題に対する抜本的な解決策とはなり得ない点である。会計年度任用職員の募集は、あくまで一時的な対処療法に過ぎず、持続可能な地方創生のためには、産業の活性化や移住促進など、より長期的な視点に立った政策が必要となる。
松本市の今回の募集を契機に、地方自治体は、会計年度任用職員の活用だけでなく、正規雇用の創出、人材育成、そして何よりも地方の活性化に向けた戦略を真剣に検討すべきである。目先の数字にとらわれず、将来を見据えた政策こそが、地方創生の鍵となることを肝に銘じるべきだ。
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