【社説】岐路に立つWTO、MC14での改革実現こそが多角的貿易体制維持の鍵
来年2025年5月に予定されるWTO（世界貿易機関）の第14回閣僚会議（MC14）は、多角的貿易体制の将来を左右する重要な転換点となるだろう。オコンジョ＝イウェアラ事務局長が掲げるWTO改革は喫緊の課題であり、MC14はその成否を占う試金石となる。
長年にわたり、WTOは紛争解決機能の停滞、交渉機能の麻痺、そして開発途上国への配慮不足といった問題を抱えてきた。これらの問題は、保護主義の台頭や地政学的緊張の高まりと相まって、WTOの存在意義そのものを揺るがす事態を招いている。
今回のMC14で議論されるべきは、第一に紛争解決機能の回復である。上級委員会の機能不全は、国際貿易ルールに基づく紛争解決を困難にし、各国の恣意的な措置を招きかねない。公平かつ透明性の高い紛争解決メカニズムの再構築は、WTOの信頼性を回復する上で不可欠である。
第二に、交渉機能の活性化である。デジタル貿易や環境問題といった新たな課題に対応するためには、柔軟かつ迅速な交渉プロセスが求められる。全ての加盟国が参加しやすく、かつ実効性のある合意形成を目指すべきだ。
第三に、開発途上国への配慮の強化である。先進国と開発途上国との間には、経済格差や技術格差が存在する。開発途上国がグローバルな貿易システムから取り残されることのないよう、特別かつ異なる待遇（SDT）の強化や、技術協力の促進が不可欠である。
我々学生は、グローバル化の恩恵を受けてきた世代であり、自由で公正な貿易体制の重要性を深く認識している。しかし、現状のWTOは、その役割を十分に果たしているとは言い難い。
MC14は、WTOが再び国際貿易の推進力となるための絶好の機会である。各国政府は、自国益だけでなく、多角的貿易体制全体の利益を考慮し、建設的な議論を行うべきだ。
我々は、MC14の結果を注視し、WTO改革の進捗を厳しく監視していく。そして、自由で公正な貿易体制の維持・発展に貢献するため、積極的に提言を行っていく所存である。
（〇〇大学新聞編集部）
WTO改革、MC14の中心議題へ：オコンジョ＝イウェアラ事務局長が広範な合意を強調,WTO
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