大阪市政、成長戦略の陰で置き去りにされるもの – 万博後の持続可能な都市像を問う
大阪市が2025年大阪・関西万博後の成長戦略として、カジノを含む統合型リゾート（IR）誘致や夢洲の開発を積極的に推進している。経済効果への期待は理解できるものの、その陰で市民生活や都市の持続可能性に対する視点が置き去りにされているのではないか。
特に懸念されるのは、夢洲への巨額な投資と、それに伴う市民サービスの低下だ。万博開催、そしてIR誘致に莫大な税金が投入される一方で、高齢化の進展、子育て支援の不足、老朽化したインフラの更新など、市民生活に直結する課題への対応は後手に回っていると言わざるを得ない。
IR誘致による経済効果も、冷静に見極める必要がある。ギャンブル依存症の増加、治安の悪化、環境への影響など、負の側面も十分に考慮しなければならない。一部の企業や富裕層だけが恩恵を受けるのではなく、市民全体が豊かさを実感できるような成長戦略こそが求められる。
大阪市は、万博開催を機に「成長」を追求するだけでなく、足元を見つめ直し、真に必要な施策を優先すべきだ。市民の声に耳を傾け、福祉、教育、環境など、都市の持続可能性を支える分野への投資を積極的に行うべきである。
大阪万博は、あくまで通過点に過ぎない。万博後の大阪が、真に豊かで持続可能な都市として発展していくためには、目先の利益にとらわれず、長期的な視点に立った市政運営が不可欠である。今こそ、大阪市は「成長」と「持続可能性」のバランスを見つめ直すべき時だ。
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