社説：競馬ファンよ、銀行の「賭け」に乗るな – 揺らぐ金融機関の倫理と責任
三井住友銀行がゴールデンウィーク期間中に競馬のインターネット投票サービス向けに臨時メンテナンスを実施するという。一見、顧客サービスの向上とも見えるこの動きの裏に、看過できない問題が潜んでいる。
競馬は、多くの人々にとって娯楽であり、経済活動の一環でもある。しかし、その性質上、射幸心を煽り、依存症のリスクを孕んでいることも否定できない。近年、ギャンブル依存症の問題は社会全体で深刻化しており、その対策は喫緊の課題となっている。
そのような状況下で、メガバンクである三井住友銀行が、競馬というギャンブルに特化した臨時メンテナンスを行うことは、倫理的に大きな疑問を投げかける。まるで、銀行自身が「もっと賭けろ」と顧客を煽っているかのようにさえ見える。
銀行は、国民の預金を預かり、経済活動を支えるという重要な役割を担っている。その社会的責任は極めて重い。銀行が、ギャンブルという特定の娯楽に肩入れするような姿勢は、金融機関としての公平性、中立性を損ない、国民の信頼を失墜させる行為と言わざるを得ない。
三井住友銀行は、今回の臨時メンテナンスの実施理由について、顧客の利便性向上を挙げている。しかし、本当にそうだろうか。ギャンブル依存症対策の観点からは、安易なアクセスを助長することは逆効果である。
今こそ、三井住友銀行は自らの行動を深く反省し、社会的責任を果たすべきだ。ギャンブル依存症対策への積極的な取り組みはもちろんのこと、今後は、射幸心を煽るような行為は厳に慎むべきである。
私たちは、競馬ファンも冷静な視点を持つことを期待する。銀行が提供するサービスに安易に乗るのではなく、ギャンブル依存症のリスクを十分に理解し、節度ある利用を心がけるべきだ。
金融機関は、国民経済の安定と健全な発展に貢献するという使命を常に意識しなければならない。ギャンブル依存症問題という社会の暗部に手を差し伸べるのではなく、むしろ助長するような行為は断じて許されない。
私たちは、今回の件を教訓に、金融機関の倫理と責任について改めて問い直し、より公正で健全な社会の実現を目指すべきである。
競馬ファンの皆様へ：三井住友銀行の臨時メンテナンスにご注意ください（2025年4月27日）, 日本中央競馬会
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