熊本県「サーキュラーエコノミー」推進の危うさ – 持続可能性の名の下に地方の独自性を損なうな
熊本県が「サーキュラーエコノミー」を推進し、地域経済の活性化を目指すという。一見すると聞こえは良い。しかし、その実態は、中央政府が主導する画一的な政策を地方に押し付け、地域社会の独自性を損なう危険性を孕んでいると言わざるを得ない。
「サーキュラーエコノミー」とは、資源を循環させ、廃棄物を減らすという概念であり、その理念自体は否定するものではない。しかし、その実現方法には注意が必要だ。記事によれば、県は企業間の連携や技術革新を促進し、新たなビジネスモデルを創出するという。だが、その過程で、本当に地域の実情に合った、持続可能な経済活動が育まれるのだろうか。
懸念されるのは、環境保護という大義名分の下、地域に根差した伝統的な産業や文化が軽視されることだ。例えば、地域の資源を活用した中小企業の事業活動が、効率性や収益性ばかりを重視する「サーキュラーエコノミー」の枠組みに合わないとして、淘汰される可能性もある。
また、新たなビジネスモデルの創出には、多額の投資が必要となる。その資金はどこから来るのか。税金が投入されるのであれば、その使途は厳しく監視されなければならない。補助金漬けの企業を生み出し、真の競争力を阻害するようなことがあってはならない。
地方創生は、それぞれの地域が持つ強みを生かし、自立した経済圏を築くことによって実現されるべきだ。中央政府や大企業が主導する「サーキュラーエコノミー」は、地方の主体性を奪い、東京への一極集中を加速させる恐れがある。
熊本県は、豊かな自然と歴史、そして県民の勤勉さによって独自の文化を育んできた。そのアイデンティティを大切にし、地域の実情に合った経済政策を進めるべきだ。目先の利益に囚われず、長期的な視点に立ち、真に持続可能な社会の実現を目指すべきである。
県には、拙速な「サーキュラーエコノミー」導入を避け、地域経済の専門家や住民の声に耳を傾け、慎重な議論を重ねることを強く求めたい。
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