社説：万博と「名物」の隘路 – ウインズ道頓堀応援隊に見る、閉塞感の打破
大阪名物「ウインズ道頓堀」に、2025年大阪・関西万博を盛り上げるための「ウインズ応援隊」が結成されるという。地方競馬を含む全レースの映像を流し、競馬ファンが集う場であるウインズが、万博の応援拠点となる。一見、異質な組み合わせに映るこの試みは、万博が抱える課題を象徴的に映し出していると言えるだろう。
万博は、経済効果や技術革新の促進が期待される一方で、肥大化する運営費、建設の遅延、そして何よりも「盛り上がらない」という不安が付きまとう。過去の万博の成功体験に囚われ、巨額の税金を投入するだけの「ハコモノ」行政に陥っているのではないかという批判は根強い。
今回のウインズ応援隊の結成は、そうした閉塞感を打破しようとする試みと評価できる。既存の施設を有効活用し、新たな客層を取り込もうとする姿勢は、評価に値する。しかし、同時に疑問も残る。本当に「競馬ファン」と「万博」の間に、シナジーは生まれるのだろうか。単なる「寄せ集め」に終わらないか。
万博の成功は、目新しいテクノロジーや豪華なパビリオンだけでは実現しない。地域住民一人ひとりが万博を「自分ごと」として捉え、主体的に関わることが不可欠だ。そのためには、従来の「上から目線」の広報活動や、形式的なイベントの開催だけでは不十分だ。
ウインズ応援隊の試みが成功するか否かは、万博運営側の「本気度」にかかっている。競馬ファンに対して、万博の意義や魅力を丁寧に伝え、共感を醸成できるか。万博を「自分たちの祭典」として主体的に盛り上げてもらえるような仕掛けを施せるか。
今こそ、万博のあり方を根本的に見直すべきだ。豪華絢爛なイベントではなく、地域に根ざした、持続可能な万博を目指すべきだ。ウインズ応援隊の取り組みは、そのための試金石となるだろう。
万博運営者は、この試みを単なる「宣伝」の道具としてではなく、地域住民との対話のきっかけとして捉えるべきだ。そして、その結果を真摯に受け止め、万博のあり方を問い直す勇気を持つべきだ。さもなくば、万博は単なる「税金の無駄遣い」として歴史に名を残すことになるだろう。
私たちは、ウインズ応援隊の取り組みを注視し、万博が真に地域を活性化し、未来を拓くイベントとなるよう、厳しく監視していく。
大阪名物ウインズ道頓堀に「2025ウインズ応援隊」がやってくる！熱いトークで競馬を盛り上げよう！, 日本中央競馬会
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