福岡市マイナ臨時交付センター設置：デジタル化の光と影、市民への丁寧な説明こそ急務
福岡市がマイナンバーカードの臨時交付センターを設置するという。一見、行政サービスの向上、デジタル化推進の象徴のように見えるこの動きだが、手放しで歓迎することはできない。
政府はマイナンバーカードの普及を急ぐあまり、なりふり構わぬ施策を連発している。ポイント還元、健康保険証との一体化、そして今回の臨時交付センター設置。これらの施策は、あたかも「マイナカードを持たなければ損をする」かのような印象を与え、市民を半ば強制的にデジタル化の波に乗せようとしているように見える。
しかし、忘れてはならないのは、デジタル化の恩恵を享受できるのは、デジタルリテラシーの高い一部の層に過ぎないという現実だ。高齢者や情報弱者と呼ばれる人々は、マイナカードの申請方法、利用方法すら理解できず、不安を抱えている。今回の臨時交付センター設置は、そうした人々への丁寧な説明、サポート体制の強化とセットで行われるべきだ。
交付センターの場所は適切か？待ち時間はどれくらいか？申請に必要な書類は何か？職員は十分な知識を持ち、市民の疑問に的確に答えられるのか？ 福岡市は、これらの疑問に対し、明確かつ分かりやすく答える責任がある。
さらに、マイナカードを巡っては、情報漏洩のリスク、プライバシー侵害の懸念も拭えない。政府は「安全対策は万全」と繰り返すが、過去には公金受取口座の誤登録、別人の情報が紐付けられるなどの問題が発生している。市民の不安を解消するためには、セキュリティ対策の透明性を高め、万が一の事態が発生した場合の責任の所在を明確にする必要がある。
今回の臨時交付センター設置は、デジタル化を推進する上で避けて通れない道かもしれない。しかし、その過程で市民を置き去りにすることは許されない。福岡市には、デジタル化の光と影をしっかりと見据え、市民一人ひとりに寄り添った丁寧な対応を強く求めたい。
我々は、行政のデジタル化を否定するものではない。むしろ、その可能性に期待している。しかし、デジタル化はあくまで手段であり、目的ではない。真に市民のためになるデジタル化とは何か。福岡市は、今回の臨時交付センター設置を機に、その問いに真摯に向き合うべきだ。
福岡市にマイナンバーカードの「臨時交付センター」がオープン！ もっと便利に受け取れるように, 福岡市
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