【社説】レコード文化の灯を絶やさぬために – HMV新宿ALTA店の挑戦に寄せて
先日、HMV新宿ALTA店が中古レコードの取り扱いを強化し、3月20日に大規模な入荷を行ったという。若者文化の発信地である新宿で、レコードというアナログ文化に再び光を当てようとする試みは、大いに注目されるべきであろう。
近年、音楽はデジタル配信が主流となり、手軽に多様な楽曲を楽しめるようになった。しかし、その一方で、音楽を「所有する」という感覚、ジャケットを手に取り、針を落とすという儀式的な行為から得られる感動は薄れてきているのではないか。レコードには、デジタル音源にはない温かみや深みがあり、音楽をより深く味わうことができる。
HMV新宿ALTA店の取り組みは、単なる懐古趣味ではない。デジタルネイティブ世代にとって、レコードは新鮮な体験であり、新たな音楽の楽しみ方を提供する可能性を秘めている。アナログ音源ならではの魅力に触れることで、音楽に対する感受性が刺激され、より豊かな音楽体験につながることを期待したい。
しかしながら、レコード文化の復興には課題も多い。レコードプレーヤーの入手困難さ、メンテナンスの問題、そして何よりもレコード自体の価格高騰など、解決すべき問題は山積している。HMVには、これらの課題に真摯に向き合い、レコード文化を次世代に繋ぐ役割を担ってほしい。
音楽は、人々の心を豊かにし、社会を活性化する力を持つ。レコード文化の灯を絶やさぬためにも、HMV新宿ALTA店の挑戦を注視し、その成功を願うものである。
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