【社説】酒販とアプリ依存の罠：アサヒビールキャンペーンに潜むリスクと責任
アサヒビールがアプリ限定で酒類購入者を対象とした抽選キャンペーンを実施するという。一見、消費喚起策として歓迎すべき動きにも見えるが、その裏には看過できない問題が潜んでいる。
まず、アプリ限定という点に着目したい。これは、スマートフォンを持たない高齢者やデジタル弱者層を事実上、排除する行為と言わざるを得ない。酒類販売において、このような情報格差を助長するような手法は、公正な市場競争の観点からも疑問が残る。
さらに、抽選で景品を提供するという点も問題だ。射幸心を煽ることで過度な飲酒を誘発する可能性は否定できない。アルコール依存症の問題が深刻化する現代において、企業は安易な販売促進策に走るのではなく、むしろ節度ある飲酒を啓発する責任を負うべきではないか。
アサヒビールは、今回のキャンペーンについて、「お客様とのエンゲージメントを深めるため」と説明するかもしれない。しかし、そのエンゲージメントは、一部の消費者を切り捨て、過度な飲酒を助長するリスクを孕んでいることを忘れてはならない。
企業は、利益追求だけでなく、社会的な責任を果たす存在でなければならない。今回のキャンペーンは、そのバランスを欠いていると言わざるを得ない。
アサヒビールには、今一度、今回のキャンペーンの意義を問い直し、より公正で持続可能な酒類販売のあり方を模索することを強く求める。そして、私たち消費者もまた、企業のマーケティング戦略に盲従するのではなく、批判的な視点を持って行動することが重要である。
酒は、人生を豊かにする嗜好品であると同時に、過度な摂取は健康を害するリスクも孕む。そのことを常に意識し、賢明な消費者として行動することが、より良い社会を築く第一歩となるだろう。
【アプリ限定】お酒を買うと、抽選でアサヒ ザ・ビタリスト無料クーポンが当たる！, セブンイレブン
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