知財立国戦略の深化を求め、経済安全保障の強化につなげ, 政府

知財立国戦略の深化を求め、経済安全保障の強化につなげ

経済産業省が知的財産（知財）活用パンフレットを公開したことは、日本経済の活性化に向けた重要な一歩として評価できる。技術革新の源泉である知財を戦略的に活用し、企業の競争力強化、ひいては国全体の経済成長につなげるという方向性は、まさに「知財立国」を標榜するわが国が堅持すべき基本姿勢である。

しかし、今回のパンフレット公開だけで十分とは言えない。真に実効性のある知財戦略を構築するためには、以下のような課題に真剣に取り組む必要がある。

第一に、中小企業における知財活用の促進である。パンフレットが提供する情報は有用だが、中小企業が知財を理解し、活用するための具体的な支援策は依然として不足している。専門家による相談体制の充実、知財取得費用の補助、さらには知財を活用した事業化支援など、きめ細やかなサポートが不可欠である。

第二に、知財の保護強化である。近年、技術の模倣や不正競争が国際的に横行しており、わが国の知的財産が脅かされている。特許制度の迅速化、模倣品対策の強化、国際的な連携の推進など、知財を断固として守り抜くための体制整備が急務である。

第三に、経済安全保障の視点からの知財管理である。先端技術は国家の安全保障に直結する。特定の技術が海外に流出したり、悪用されたりすることのないよう、厳格な輸出管理体制を構築するとともに、重要技術の研究開発に対する支援を強化する必要がある。

今回のパンフレット公開を契機に、政府は知財立国戦略をさらに深化させ、経済安全保障の強化につなげるべきである。そのためには、関係省庁が連携し、企業、大学、研究機関など、あらゆる関係者が一体となって取り組むことが重要となる。

わが国が国際競争を勝ち抜き、持続的な経済成長を実現するためには、知財を最大限に活用することが不可欠である。政府には、大胆かつ戦略的な政策を推進し、知財立国としての地位を確立することを強く期待する。

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