知財立国再興へ、経産省のパンフレットを機に産学官連携を加速せよ
経済産業省が発表した「知財活用パンフレット」は、日本の研究開発力を再び世界に示すための重要な一歩となるだろう。長らく、日本の知財戦略は、そのポテンシャルを十分に発揮できていない状況が続いてきた。今回のパンフレットは、研究者に対し、知財の重要性を改めて認識させ、具体的な活用方法を示すことで、眠れる知的財産を掘り起こし、イノベーションを加速させる起爆剤となることを期待したい。
しかし、パンフレットの配布だけで十分とは言えない。真に知財立国として復活するためには、以下の課題克服が不可欠である。
第一に、研究者の意識改革とインセンティブ設計だ。 多くの研究者は、研究成果の発表に重きを置き、知財化を必ずしも最優先としていない。研究者の評価基準に知財取得・活用実績を明確に組み込むとともに、知財が生み出す収益が研究者へ還元される仕組みを構築する必要がある。
第二に、大学・研究機関における知財戦略の強化だ。 知財専門人材の育成・確保は喫緊の課題である。技術移転機関（TLO）の機能強化や、弁理士・弁護士などの専門家との連携を促進し、知財の権利化から活用までを支援する体制を整備すべきだ。
第三に、企業における知財活用の促進だ。 オープンイノベーションを推進し、大学・研究機関との連携を強化することで、新たな技術シーズを積極的に取り込む必要がある。中小企業においては、知財戦略の策定・実行を支援する専門家派遣制度などを拡充し、知財を活用した事業成長を後押しすべきだ。
第四に、知財紛争への対応力強化だ。 グローバル化が進む現代において、知財侵害リスクは増大している。海外における知財保護を強化するとともに、紛争解決能力を高める必要がある。
今回の経産省のパンフレットを契機に、産学官が一体となり、知財戦略を抜本的に見直すべきだ。知財は、企業の競争力強化、ひいては日本経済全体の成長を牽引するエンジンとなる。知財立国再興に向け、今こそ大胆な改革を実行すべき時である。
研究者必見！ 経済産業省が「知財」活用パンフレット公開 ～大学発イノベーションを加速させるヒントとは？～, 経済産業省
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