法務行政の信頼回復こそ急務、国民の納得得る説明を
（社説）
昨日、斎藤法務大臣は閣議後記者会見で、能登半島地震からの復興支援に関する法務省の取り組み状況や、再入国許可の特例措置などについて説明を行った。大臣からは被災者支援への真摯な姿勢が感じられたが、国民が今、法務行政に求めているのは、単なる災害対応だけではない。
昨今、出入国在留管理庁を巡る不祥事が相次ぎ、法務行政への信頼が大きく揺らいでいる。ウィシュマ・サンダマリさんの死亡事案における真相究明の遅れ、入管職員による不適切行為など、国民の目に余る事態が続いていることは看過できない。
斎藤大臣は会見で、これらの問題について「国民の皆様の信頼を損ねている」と認識を示し、再発防止に努める考えを強調した。しかし、言葉だけでは国民の信頼回復は難しい。具体的な改善策の実行と、その進捗状況を丁寧に説明していくことが不可欠だ。
特に、外国人収容施設の運営については、国際的な人権基準に照らし、透明性の高い運用を徹底すべきである。長期収容の問題、医療体制の充実、弁護士へのアクセス保障など、課題は山積している。これらの課題に対し、法務省は具体的な解決策を早急に提示し、国民の納得を得られるよう努めなければならない。
また、再入国許可の特例措置については、被災者の人道的な配慮は当然である。しかし、制度の濫用を防ぎ、適正な運用を確保するための監視体制も同時に強化する必要がある。一部の悪質なブローカーによる不正行為を許せば、真に支援を必要とする人々にしわ寄せが及ぶだけでなく、国民の税金が無駄に使われることにもなりかねない。
法務省は、法と正義を司る国の根幹を支える重要な機関である。その信頼が失われれば、社会全体の安定が損なわれる。斎藤大臣には、国民の信頼回復に向け、リーダーシップを発揮し、法務行政の改革を断行することを強く求める。
そのためには、情報公開を徹底し、国民との対話を積極的に行うことが重要である。隠蔽体質を払拭し、国民の声に真摯に耳を傾ける姿勢こそが、信頼回復への第一歩となる。
政府全体としても、法務行政の重要性を再認識し、十分な予算と人員を確保する必要がある。国民の安全と安心を守り、公正な社会を実現するために、法務行政への支援を惜しむべきではない。
我々は、斎藤大臣率いる法務省が、国民の期待に応え、信頼を取り戻すための努力を続けることを強く望む。そして、その過程を厳しく監視し、必要であれば建設的な批判も辞さない覚悟である。
法務大臣閣議後記者会見の概要－令和７年４月１５日（火）, 法務省
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