レジリエンスセッション：震災と未来のこうべ博から読み解く、持続可能な都市と経済のあり方
先日、2025年日本国際博覧会（大阪・関西万博）に先駆けて開催される「レジリエンスセッション – 震災と未来のこうべ博」の詳細が発表された。阪神・淡路大震災から30年という節目に、神戸市が被災経験と復興の歩みを世界に発信する意義は大きい。しかし、経済の視点から見ると、このイベントは単なる追悼や教訓の共有にとどまらず、持続可能な都市開発と経済成長の新たなモデルを提示する機会となるはずだ。
神戸市の経験は、災害からの復興がいかに経済的な活力とイノベーションを生み出すかを教えてくれる。震災後の創造的な復興は、地域経済の多様化を促し、新たな産業の創出につながった。今回のセッションでは、こうした経験を活かし、防災技術や都市計画、地域コミュニティの強化といった分野で、世界に貢献できる日本の技術力とノウハウを示すべきである。
特に注目すべきは、気候変動の影響が深刻化する現代において、レジリエンス（強靭性）が都市や経済の持続可能性を左右する重要な要素となっている点だ。頻発する自然災害は、サプライチェーンの寸断、インフラの脆弱性、そして経済活動の停滞を引き起こす。企業は事業継続計画（BCP）の見直しを迫られ、投資家はリスク評価にレジリエンスの視点を組み込む必要に迫られている。
「レジリエンスセッション」は、こうした課題に対する具体的な解決策を探る場となるだろう。例えば、再生可能エネルギーの導入、分散型電源の普及、スマートシティ技術の活用などは、災害に強く、環境負荷の少ない持続可能な都市を構築するための重要な要素となる。また、地域経済の活性化には、中小企業の防災対策支援や、地域資源を活用した新たなビジネスモデルの創出が不可欠だ。
今回のセッションが成功するためには、政府、自治体、企業、そして研究機関が連携し、具体的な成果を生み出すための議論を深める必要がある。単なる情報交換や理念の共有にとどまらず、具体的なプロジェクトや政策提言につなげることが重要だ。
経済界は、この「レジリエンスセッション」を、持続可能な社会と経済を構築するための新たな羅針盤と捉えるべきである。震災の教訓を活かし、未来への投資を加速することで、日本経済は新たな成長軌道に乗ることができるはずだ。神戸から発信されるメッセージが、世界中の都市や企業に、持続可能な未来に向けた行動を促すことを期待したい。
「レジリエンスセッション 震災と未来のこうべ博」に神戸大学の練習船など参加, 神戸大学
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